R.I.P. Earl King!! 去る2003.4.18、アール・キングが他界されました。 今頃、天国でフェスに「お〜久しぶりやね、アールくん」などと言われているでしょうか。 心より御冥福をお祈りいたします。 アールくん、素晴らしい音楽をいっぱいありがとう! |
日々の生活にお疲れの皆様へ、癒しの時間をお届けします。 ある日、アール・キングがプロフェッサー・ロングヘアーの家に遊びに来ました。 光景を思い浮かべながら、ゆっくりお読み下さい。ほのぼのとした気持ちになれます。 Fess:おー、アールくん。久しぶりやね。どないしたんや、寝巻きのまんまで。
ごきげんフェスくん Fess:ウソやろ。どう見ても縦じまパジャマやないか。 Earl:何ゆうてますの。むっちゃよそ行きですやん。 Fess:自分、何着ても入院患者に見えるな。まぁ、ええわ。はよ、おあがり。
入院患者アールくん Fess:なんか飲むか? Earl:いえいえ、えーですよ。フェスさん、気使わんといて下さい。 Fess:その紙袋はなんや? Earl:さっき、コジモマタッサのスーパーでバナナ買おてきたんですけど、フェスさん食べはります?
フレンチクォーターにあるコジモのスーパー(撮影KB) Earl:そやったんですか。すんません。ほな・・・(バナナを1本手に取る)・・・(バナナの皮をむく)・・・(もぐもぐ)・・・ Fess:・・・自分、あれやな。バナナの皮むくの上手いな。 Earl:・・・(もぐもぐ)・・・そうですか?普通ですよ・・・(もぐもぐ)・・・ Fess:なんやったら、これも食べへんか? Earl:(もぐもぐ)・・・なんです、それ? Fess:豆や。この前KBねぇちゃんが持って来てくれたんやけどな、日本では2月のあたまに豆まくんやて。 Earl:(もぐもぐ)・・・どこにまくんです? Fess:なんや、鬼にぶつけるゆうとったで。あと、自分の歳の数だけ豆食うんやって。 Earl:(もぐもぐ)・・・それ、なんかのおまじないですかねぇ? Fess:さぁ・・・日本の風習はよぉ分からんな。とりあえず、歳の数だけ食うとこ。1、2、3、4・・・ Earl:フェスさん、いま何歳ですの? Fess:・・・12、13・・・えっ、なんや? Earl:フェスさん、いま何歳です? Fess:えーっと・・・あぁぁ、数わからんようなってもたがな。1、2、3、4・・・ Earl:フェスさん、いま何時ですか? Fess:・・・15、16・・・えっ、なんやて? Earl:いま何時頃ですかねぇ? Fess:えーっと2時くらいちゃうか・・・あぁ、また数わからんようなってもた・・・1、2、3・・・ Earl:フェスさん、今日何日でしたっけ? Fess:えーっと・・・ええ加減にせんかい! Earl:ははは、僕も豆もらっていいですか? Fess:うん、ええで。ちゃんと歳の数だけ食うんやで。 (仲良く豆を数える2人) Earl:(ぽりぽり)・・・この豆、うまいですねぇ・・・(ぽりぽり)・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・ん、ほんまやね・・・(ぽりぽり)・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・あ、フェスさん、頭になんや虫みたいなん、ついてますよ。 Fess:(ぽりぽり)・・・え、ほんまに?とってくれるか?・・・(ぽりぽり)・・・ Earl:はいはい・・・とれました・・・(ぽりぽり)・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・すまんな・・・あ、自分もなんかついとうで。取ったろ・・・ Earl:あ、すんません・・・(ぽりぽり)・・・フェスさん、もうちょっとしたらマルディグラですねぇ・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・あー、ほんまやな。もうそんな時期か・・・ Earl:フェスさんのためにマルディグラの曲書いたんですけど、一緒に演ってくれません?・・・(ぽりぽり)・・・ Fess:・・・(ぽりぽり)・・・んー・・・ええけど、歌わへんで・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・なんでですの?フェスさんの歌、めっちゃいいですやん・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・歌詞、よう覚えへんのや・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・ Fess:・・・えっ?今なんかゆうたか? Earl:(ぽりぽり)・・・いや、なんもゆうてませんよ。 Fess:(ぽりぽり)・・・・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・フェスさん、歌うとて下さいよ・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・歌詞、覚えられへんゆうとうやろ・・・・・・ Earl:・・・・ほな、あれですわ。僕が耳もとでささやいて、歌詞教えるっちゅうのどないです? Fess:・・・いやや、そんなん・・・(ぽりぽり)・・・・・・ジミー・リードみたいやないか・・・
奥さんに耳もとで歌詞を囁かせるジミー Fess:(ぽりぽり)・・・・・・何歌うんや?『ふたりのアイランド』か?・・・・ Earl:・・・・それやったら、僕、チャゲの方やりますわ・・・ Fess:ほな、わしが石川優子な・・・・・・(ぽりぽり)・・・・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・ Fess:(ぽりぽり)・・・・・・ Earl:(ぽりぽり)・・・・・・ Fess:はよツッコまんかい・・・・・・ Lesson6 今回のレッスンでは、プロフェッサー・ロングヘアーの代表曲『Big Chief』をアンサンブルという観点から聴いてみましょう。教材は、初期編集盤『21 Bluse Giant』またはオムニバス・アルバム『Collector's Choice』ですが、レッスン1の参考資料『Mardi Gras In New Orleans』を入手済みの方は、代わりにこのアルバムでも結構です。
今回の教材『21Bluse Giants』 では、まずパート1から聴いてみましょう。オリジナル録音に最も近い形であると思われる『21 Bluse Giant』からです。 オープニングを飾るのが、フェス・ピアノの最大の特徴である美しい音色です。この有名なピアノ・フレーズは、その他のフェスの曲で聴かれるそれとは違う、流れるようなメロディラインが特徴的です。通常叩き付けるような力強い左手でベースフレーズを演奏するフェスですが、ここではカーティス・ミッチェルのベースと、ユニゾンで付随するホーンがそれにあたります。フェスがベース・パートを演奏しないという点も、この録音の珍しい特徴といえるでしょう。 この曲のもうひとりの主役は、ドラマーのスモーキン・ジョンスンです。ここで聴かれる切り込むように鋭いセカンドラインは、後のニューオリンズドラマーに多大な影響を及ぼしたことでしょう。キレのいいスネアにシンプルだが重く存在感のあるバスドラ、アクセントとなる軽やかなリムショット。どれをとっても、フォンキーの極みです。コーラスの最終小節で聴かれる、片手でロールしながらの8分音符の連打は、並みのドラマーには決して真似できない究極のフレーズです。このスネアが、曲全体に疾走感を与えています。怒濤のように突っ込んでいるようでいて、逆に後ろにもたれているようにも聴こえるこのドラムの存在が、この曲の第2のポイントです。その後のコーラスの最終小節では、8分音符の連打のバックで、おそらくスモーキン自身であろうと思われる叫び声がかすかに聴こえます。 このワクワクさせられる叫び声に続いて、フェスの口笛と、それにレスポンスするホーンが絡みます。パート1とパート2ではホーンセクションのアレンジがかなり異なり、このあたりの聴き比べも面白いところです。(ちなみに、アール・キングとプロデューサーは、この曲のアレンジを15パターン用意したそうです)ホーンセクションは、トランペット2本(資料によっては3本)・トロンボーン3本・アルトサックス2本・テナーサックス2本・バリトンサックス1本の大所帯で、うまく絡めています。小節の頭に1拍づつ入る高音ホーンのパターンがどんどん展開をみせ、全体を通して聴くとまるでインプロビゼーションのような錯覚に陥ります。 このように聴いていくと、この録音の中心はフェスではなくドラムとホーンのアンサンブルであることに気付かされることと思います。さらに、ドラムはスネアとバスドラが中心で、ハイハットの代わりがスネアのリムショットのようです。つまり、ニューオリンズでポピュラーなブラスバンド形態をベイシックにしているのです。後に、多くのブラスバンドがこの曲を取り上げた理由がここにあります。
好オムニバス盤『Mardi Gras In New Orleans』
この頃のフェスは最高『Collector's Choice』 続いて、パート2のほうを聴いてみましょう。 曲が始まると、早速、パート1と比べて快活な感じというかテンポが良いように感じないでしょうか。これは、おそらくバスドラ・フレーズの違いからきているものと思われます。パート1では1拍目と4拍目の裏のみに踏まれるバスドラが、パート2では2・3・4拍目の頭にも踏まれています。(途中からパート1のフレーズに変化します)オムニバス盤『Mardi Gras In New Orleans』と『Collector's Choice』収録のバージョンは、オープニングのピアノのみ・ピアノ&ドラムのみの部分がカットされて途中からのフェイドインで始まりますので、できれば『21Bluse Giants』のバージョンを聴いてもらえれば分かりやすいと思います。 また、パート1と比べるとホーン・アレンジも異なっています。2コ−ラス目に入ってからホーンが絡んで来て、フェスの口笛に対するホーンのレスポンスもありません。また、パート1で聴かれる低音ホーンとベースとのユニゾンもここではありません。途中からアール・キングの歌が加わりますが、いかにも歌い上げるという感じではなく、歌も楽器ののひとつとしてアンサンブルに加わっているかのように聴こえます。 こういった歌の扱い方やホーンの絡め方などを見ると、米国においてのファンク・ミュージック誕生の瞬間を感じてなりません。 音楽は『心で聴き、体で感じる』べきものですが、優れた音楽がそうである理由を細かく分析してみるのも、たまにはいいのではないかと思います。
最近DVDでも発売された『Always For Preasure』 また、ここで登場するアール・キングは55年Ace録音『Those Lonely Lonely Night』の大ヒットで知られるニューオリンズのギタリストで、ソングライターとしても数々のヒット曲を産み出しています。ギター・スリムのスタイルを継承し、ヒューイ・スミスのバンドでも長く活動してきました。決して上手いとはいえない個性的なギターと大らかでフォンキーな歌は、ギタリストのみならず後のニューオリンズのミュージシャンに多大な影響を与え、現在でも現役で活動しています。 Reference Data(VTR & Books)コーナーのビデオ『Dr.John Sound Stage』では、このビッグチーフをフェス、アール・キング、Dr.ジョン、ミーターズの共演で聴くことができ、是非観ていただきたいものです。(2枚組CD『The Professor Longhair Anthorogy』で、音だけ聴くこともできます)また、『21Bluse Giants』収録の『Third House From the Corner』でもアール・キングとフェスとのフォンキー対決がおこなれており、非常に楽しい録音ですので是非御一聴ください。 また、アール・キングのソロ録音に興味をお持ちの方はReference Dataのコーナーを参考にしてみて下さい。 ちなみに、『Big Chief』でフェスが歌わずピアノと口笛のみである理由は、歌詞が覚えられなかったからであると言われています。しかし、後に覚える事ができたのか79年アリゲータ録音では見事(?)に歌を披露しています。 |