Lesson1 (Fess)

KB:(ピンポーン)フェスくーん、フェスくーん、遊ぼぉぉ!

fessくん登場!
Fess:・・・よぉ、ねぇちゃんか。まぁ、お上がり。

KB:お邪魔しまぁす。・・・あ、フェスくん、ピアノ練習中?

Fess:へへ、新曲新曲。ねぇちゃん、ちょっと聴いてくれるか?

KB:うんうん、聴きたい。なんて曲?

Fess:『なんちゃらウェザー』っちゅう曲や。

KB:『なんちゃらウェザー』って・・・

Fess:うん、昨日、「なんちゃらT」っちゅうやつが遊びに来て弾いとったんや。

名ライブ盤『Last Mardi Gras』
KB:「なんちゃらT」? 私、フレンチ・マーケットでミスターTっていうオヤジにフェスくんの『ラスト・マルディグラ』のBOX入りカセットテープを2枚組CDって騙されて買ったことあるけど。

Fess:そんなん知らんがな。「なんちゃらT」はピアノ弾きやで。おしゃれやでぇ。こんなんもたまにはエエやろ。

KB:フェスくんがオシャレな曲?だめだめ、似合わないって。この前フェスくん「借りもんで勝負したらあかん」って言ってたじゃない。

Fess:シャレやがな、シャレ。こんなん人前で弾けっかい。・・・・・・・・・どないや?

KB:・・・・んーーーー、なんか分かりづらい・・・・・・なんか気持ち悪い・・・んーーー・・・

Fess:・・・ん、難しいな・・・この音ちゃうな・・・え・・・・っと・・・・・これか?ちゃうな・・・

KB:・・・フェスくん、なんかこの曲、気持ち悪。なんで?

Fess:おかしいなぁ、なんでやろ?

KB:んーーー、なんかコードが合ってないような・・・、メロディーがなんか・・・あーー、気持ち悪!!

Fess:うん、なんかおかしいな。なんでやろな?

KB:ん・・・コード合ってる?

Fess:ん?コード?おねぇちゃん、アホやな。これオルガンちゃうで。ピアノやで。コード挿さんでも音出るんやで。

KB:いやいや、違うって。コードって、ほれ、あのコードだって、コード。フェスくん、ミュージシャンなのにコード知らないの?

Fess:アホゆうたらあかんわ。コードぐらい、知っとるがな。挿すやつやがな。

KB:だから、それ違うって!

Fess:ほな、なんやねん。ねぇちゃん、ゆうてみ。

KB:え?!・・・・・・・いや、だから、コードは・・・ん・・・・・・え・・・・・・・っと・・・・・・・・分かった!多分ね、今フェスくんCで弾いてたでしょ?もしかしたらFくらいならちゃんと弾けるかも!!

Fess:ねぇちゃん、エエことゆうた!!そうや、それや!・・・・・・・・あかん、やっぱりおかしいな。

KB:・・・気持ち悪い・・・やっぱり違うって・・・

Fess:分からん・・・・・・・・・ほら・・・・・・ほれほれ・・・・どや?

KB:んーーーー・・・・・

(ウィリー・ティー、登場)
WT:(がらがら)どもー、フェスさん、昨日はお邪魔しましたぁ。

ウィリーくんの優しい笑顔
KB:うぁ、ウィリー・ティーだ! 顔、デカ!!

Fess:おぅ、「なんちゃらT」!ええとこ来た!ちょっと、昨日の『なんちゃらウェザー』弾いてみ。

WT:え、なんですか、いきなり?

Fess:なんか、この曲おかしいぞ。ほれ・・・こうやろ・・・・でもって・・・こうやろ・・・

WT:あ、あの、フェスさん、これね、3コードじゃないんですわ・・・。

Fess:え!!なんやねん、それ!

KB:ほらぁ、やっぱりコードが違うんだって。

Fess:うるさい!ねぇちゃんもコード知らんやろ!

KB:・・・はい・・・知らないです・・・全然分からんです・・・。

Fess:おい!「なんちゃらT」!その3コードってなんやねん!

WT:いや、3コードって、いつもフェスさんが演ってるやつですよ。

Fess:え!!

WT:基本はトニックとドミナントとサブドミなんですけど、まずトニックからドミナントに・・・

Fess:(こそこそっと)・・・ねぇちゃん、分かるか?

KB:(こっちも、こそこそっと)・・・いや、わたし日本人だもんで、カタカナで言われても・・・

Fess:(さらに、こそこそっと)わし、外人やけどさっぱりやで。

KB:(またも、こそこそっと)多分、英語じゃないんですよ。

Fess:(しつこく、こそこそっと)サブが何とかゆうとったで。

KB:(こそこそこそこそ・・・)あ、それたぶんホモ雑誌のことですよ。

WT:・・・・・・・・・・




Lesson1

 ここでは、まずプロフェッサー・ロングヘアーの演奏を聴いてみましょう。手っ取り早くフェスの音楽を知るのにお薦めなのが、2枚組CD『Professor Longhair Anthorogy』です。今回はこのCDを教材にレッスンを進めて行きます。

『Professor Longhair Anthorogy』
 ライノから発売されているこのCDには、フェスの録音がほぼ年代順に収録されていて、 そのキャリアもほぼ網羅されています。どの時代からもまんべんなく選曲され、これまで オムニバス盤に頼らざるを得なかった単発のSP・シングル用録音音源などもまとめて 聴ける、ライブ盤からもバランス良く収録されている、ビデオなどの映像として残っている 演奏まで収録している、と、初心者からマニアックなファンまで満足できる内容です。
なにより、その選曲の良さと言えば、さすがはレーベルを超えた好編集には定評のある ライノならではでしょう。また、この シリーズは他の黒人ミュージシャンも多数発売されています。クリフトン・シェニエや ミーターズなど名作揃いですので、興味を持たれたミュージシャンはまずここから聴いて みるのもいいかと思います。国内盤はP−ヴァインから発売されているので、入手も簡単です。

 全体を通して聴いてみてまず気付くことは、フェスの演奏は根本的に30年間変わって いないということです。一貫して力強いタッチでぐいぐいと打ち込むような左手、それに 絡むかのようにうねりを付ける右手。バックのバンドサウンドは変化すれど、フェスは ピアノスタイルを変えることなくフォンキーに押しまくります。ニューオリンズ・スタイル のピアノといえば、コロコロと転がるようなローリング・ピアノを思い浮かべる方が多いと 思いますが、フェスの個性はフレージングではなく弦の響きさえ感じられる鍵盤の音と リズムの強さです。昨今のニューオリンズ・ピアニストは、流暢にかつ軽快に鍵盤の上を 滑るように・・・と「お前は鍵盤を撫でてるのか?」とツッこみたくなるような人ばかりで、 自分のピアノ音を持っている人も少ないように思います。フェスと比べると誰も子供のよう です。

 また、フェスの音楽はピアノ好きよりむしろリズム楽器好きに聴いてもらいたい音楽です。 音階を無視してリズムだけ聴いていても決して飽きることがないでしょう。現に元ミーター ズのドラマー、ジョセフ・ジガブー・モデリステは「当時のニューオリンズのドラマーは、 ひとり残らずフェスを研究したものだ」と発言しています。ドラマーに研究されるピアノ 弾きというのもなかなかいませんが、フェスのピアノをこぞって研究するだなんてさすがは ニューオリンズのドラマー。1000のリズムを持つ街、ニューオリンズならではです。

髪型で笑いをとるマディ
 またフェスくんとの会話の中で、オシャレな曲は似合わないと止められたフェスくんが 「こんなん人前では弾かん」と言っていますが、信用できません。多分弾く気です。とは 言っても、完全にフェスのスタイルに変えてしまってからでしょう。アンソロジーのDisc2 に収録されている『アイ・ガッタ・モジョ・ワーキン』(後に『レッド・ビーンズ』として 改作発表しています)は、言わずと知れたマディ・ウォーターズのヒット曲ですが、 マディのドス黒いオリジナルを知る人ならあまりの変わり様に驚かれることでしょう。どん な音楽を演る場合にも、いかにして自分のテリトリーに引き寄せるか知恵をしぼるフェス の音楽的プライドを感じることができます。
 これは当然のことのはずですが、案外気付かずに借り物で切り抜けている人が多いように 思います。会話の中に「借りもんで勝負したらあかん」という言葉がありますが、これは 実際フェスの口から出たものではありません。フェスの演奏から感じられるものです。

フェスの演奏を聴くと、「大切なのは技術ではなくプライドやで」と言っているかのようです。

 ちなみに、「ストーミー・ウェザー」を無理矢理3コードに当てはめて練習していたと いうエピソードは実話で、ロバート・パーマーが『Root's Of Rook vol.1』の中で記述して います。ただ、ジョン・リー・フッカーとは違って、「コード」の存在は知っていたよう です。(Dr.ジョンによれば、コードの呼び方が独特で、例えばEマイナーをEフラット、Eマイナスなどと呼んだりはしていたらしい)

更に笑いがとれるスヌークスの髪型
 参考までに、ここに登場するウィリー・ティーですが、以前はゲイターズというファンク・ バンドで活動していた鍵盤弾きで、ワイルド・マグノリアスのプロデュースでも有名です。 自身も65年にシンガーとして、「ティージン・ユー」のヒットを飛ばしています。 (スヌークス・イーグリンがアルバムタイトルにして吹き込んでいる、あの曲です) 興味をお持ちの方は、参考資料Referrence Dataのコーナーを参考にして下さい。


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