Lesson2 (Origin)

KB:本日のゲストは、プロフェッサー・ロングヘアーさんです。フェスさん、ようこそいらっしゃいました。

Fess:ども、フェスくんやでぇ。

むっちゃ若いフェスくん
KB:まず、フェスさんのお生まれについてお聞きしたいんですが。

Fess:お馬は乗ったことないなぁ。普段はチャリなんやけど、この前ポパイでチキン食べとう間にパチられてもてな。

KB:あ、あの、フェスさん。お馬ではなくて、お生まれについてお聞きしてるんですが・・・

Fess:えっ?!生まれ?あー、生まれな。えぇー、1918年12月19日生まれの射手座やで。ニューオリンズのちょっと北にあるボガルーサゆう田舎で生まれたんや。

KB:ニューオリンズの生まれじゃないんですね?

Fess:せやで。小さい時にニューオリンズに引っ越してきてからは、ずーっとニューオリンズやけどな。

KB:どうしてニューオリンズに?

Fess:よう知らんけど、父ちゃんに逃げられたからゆうて母ちゃんがゆうとった。

KB:じゃあ、母子家庭で育ったんですか?

Fess:せや。母ちゃんはギターもピアノも上手かったなぁ。

KB:じゃあ、小さい頃から音楽には親しんでたんですね。

Fess:うん。母ちゃんが信心深い人やったから、教会にしょっちゅう連れて行かれてな。ゴスペルとか歌ととった。

KB:え?!フェスさんがゴスペル?!全然ガラじゃないですね。

Fess:失礼なやっちゃなぁ。教会はわしのルーツやで。

KB:ウソでしょ?小さい時から飲み屋に出入りして、音楽聴いてたって聞いてますけど。

Fess:いやいや、真面目なお子さんやったで。

KB:マジックで口ヒゲ書いて、クラブに出入りしてたんでしょ?

Fess:いやいや、毎日塾通いやったから、そんなことはしてへん。

KB:タップダンスとか道ばたで踊ってお金かせいでたでしょう?

Fess:いやいや、わしは花柳流やからタップは踏まん。

KB:フェスさん、ウソは困ります。

Fess:すんません。タップ踏んでました。

KB:よろしい。えー、影響を受けたピアニストは誰ですか?

ジャック・デュプリーなのだ
Fess:んー、そやなあ・・・トゥッツ・ワシントンとかサリバン・ロックとかキッド・ストーミー・ウェザーとかチャンピオン・ジャック・デュプリーとか・・・

KB:あのぉ、私、前から疑問を持ってたんですけど、それ本当ですか?

Fess:(ぎくっ)ほ、ほ、ほ、ほんまやで。

KB:ほんとにぃ?

Fess:ほ、ほ、ほんまやって。

KB:でもフェスさんのピアノ、全然バレル・ハウスとかブギウギっぽくないんですけど。

Fess:ブギウギ弾いとうがな!むっちゃブギウギやがな!

KB:んー、でもジャック・デュプリーのピアノなんて全然違いますよ。トゥッツっぽくもないし。

Fess:ねぇちゃん、若い頃のトゥッツ知らんやろ。晩年のよれよれピアノとは全然ちゃうで。かっこよかったんやでぇ。

KB:へー、そうだったんですか。

Fess:トゥッツは手がすごいデカい人でな、片手で軽々3オクターブくらい開いとったで。

KB:えっっっ!!さ、さ、さ、3オクターブ?!

この長い指を見よ!
Fess:ウソやけどな。(ウソなんかい!)わしは手が小さいから1オクターブぎりぎりぐらいやったから、手をスライドさせながらの奏法を考えたりして苦労したんやで。トゥッツからは「ひとつひとつの音をしっかり出す」ことを教わったんや。

KB:確かにフェスさんのピアノは、ひとつひとつの音がツブ立ってますよね。で、トゥッツは実際片手でどのくらい開いてたんですか?

Fess:だいたい、東京ドーム3個分ぐらいやった。

KB:・・・・・本日のゲストはプロフェッサー・ロングヘアーさんでした。

Fess:また来週!


Lessen 2

 今回のレッスンでは、フェスのルーツに少し触れてみることにしましょう。

ビデオ『Piano Players』
 教材はレッスン1同様『1.Professor Longhair Anthorogy』から、Disc2の18 「ブギウギ」です。この曲は、VTR&Bookのコーナーで紹介しているドキュメンタリー ビデオ『Piano Players』「ニューオリンズ伝説」中の演奏で、フェスとトゥッツ・ ワシントン、アラン・トゥーサンの3人が3台のピアノを並べて連弾したもので す。トゥッツはフェスが影響を受けたピアニスト、アランはフェスの影響を受けたピアニ ストということで、この3人の演奏からフェスのルーツを感じられればと思います。映像を観ながら聴けばより分かりや すいのですが、このCDだけでも十分です。

  まず、最初にソロをとっているのがトゥッツ・ワシントンです。リズムが無茶苦茶です。 なかなか個性的で面白いソロですが、あまりに左手がひどすぎます。演奏を始める前に、 少しフェスが喋っている声が入っていますが「アランのソロのとこは、普通に弾いとくん やで!」と叱咤しています。ビデオでは、この演奏の前にトゥッツのソロが終わり トゥーサンにソロを渡したにもかかわらず、しつこくトゥッツがビラビラ右手を動かし続け てフェスがトゥッツを睨み付け「弾くな!」と怒られる場面も収録されています。まぁ、 怒られて当然です。
 続いてトゥーサンのソロですが、こちらは非常に素晴らしいです。華やかな右手のメロ ディもさることながら、左手のバッキングの力強さはフェス顔負けの強力グルーヴを造り 出しています。キレがあって突き刺すような鋭い音質ですが、リズムがどっしりしている せいかそれほど攻撃的にも感じません。トゥッツのピアノに比べると、やはり若くて疾走感 があるところが特徴です。
 続いてフェスのソロですが、やっぱり圧倒的な貫禄を見せつけます。弾きまくりトゥッ ツとは違い、派手さはありませんが、とにかくバッキングが超人的なうねりを産み出して いることがお分かりいただけると思います。音質もトゥーサンの鋭さとは対照的に、丸み があり奥行きがあり、なおかつ粒立って芯があるというフェスならではの個性的な音です。 フレージングはいつもの感じですが、こういったオーソドックスなブギウギには、むしろ ピッタリではないでしょうか。
 最後にもう一度、トゥッツのソロに戻ります。トゥーサンとフェスのバッキングが優れ ているため、トゥッツのトリッキーなソロも引立って感じられます。

 さあ、3人の演奏を通して聴いてみていかがだったでしょうか?  三人三様のスタイル、あなたの好みはどれだったでしょう?好みの別れるところですが、 音楽の正解はひとつではありません。トゥーサンやトゥッツに興味を持たれた方は、 Reference Dataのコーナーも参考にしてみてください。

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