1.Piano Players「ニューオリンズ伝説」(P-Vine PVH-04)1979-1980
出演 Professor Longhair,Tuts Washington,Allen Toussaint
収録曲 Tipitina/ Southern Night/ Mardi Gras In New Orleans/ Yes We Can/ Pinetop's Boogie Woogie/ Working In A Coal Mine/ The Old Professor/ Mother-In-Law/ Gone So Long/ Hey Now baby/ Honky Tonk/ What is Saccess/ Junker Blues/ Holy Cow
Produced And Directed by Stevenson J. Palfi
スティーブン・パルフィ製作・監督のドキュメンタリー。
フェスとトゥッツ・ワシントン、アラン・トゥーサンの3人のピアノ・マンが3台のピアノを並べての連弾ライブ、という前代未聞の企画。その前日になんとフェスが死去。急遽、フェスの葬儀とライブのリハーサル風景のドキュメンタリーに企画を変更と、なんともラッキーなんだかアンラッキーなんだか分からない状況から生み出された作品だ。
まずリハーサル風景が面白い。トゥーサンがソロの番になってもしつこく弾き続けるトゥッツに、フェスが「もうお前、弾くな!アランのとこでは右手は動かすな!普通に弾いてろ!」と一喝。シュンとするトゥッツ。2人の間に入って、どうしていいか分からないトゥーサン、と三者三様。
とにかくフェスがかっこいいのだ。トゥッツが弾いてる時もけげんそうに睨み付けてるし(相手は自分が影響受けたと言い張るトゥッツだぞ)。なんせトゥッツのリズムが無茶苦茶で、フェスの左手が更に力強くなる。(アルバム『13.Fess Gumbo』を聴くと、フェスもあんまり変わらないんだけど・・・)
こうやって聴くとトゥーサンのピアノもなかなか。リズムもしっかりしてるし、音も力強いし、左右のバランスもいい。でもやはりフェスのピアノがダントツで、桁違いの貫禄を見せつける。とにかくバッキングが凄い。ソロはいつものパターンだが、ひとつひとつの音がツブ立っていて尚かつ音に膨らみがある。その音の奥深さに、単純なメロディに聴こえない説得力がある。ピアノというより、ドラムとベースのリズムセクションを聴いているような気分にさせられるのは私だけか?
3人各々のインタビューも収録されていて、ひとつひとつの音をしっかり弾くようにフェスに教えたのはトゥッツだと語っているが、皮肉にもトゥッツのピアノからはそんな奏法は微塵も感じられない。年月が彼を変えてしまったのかなぁ。
また、もうひとつの見どころはフェスの葬儀。ニューオリンズ中をあげての盛大な葬儀となったが、参列したトゥーサン(なんと真っ赤なスーツで登場!)がオルガンでフェスに捧げる曲(ビックチーフの改作)を弾き語りするところなど泣ける。しめやかにフェスの遺体を送るファースト・ラインに続いて、街中あげての陽気なパレード、セカンド・ラインの様子も、ニューオリンズの文化を知る上で興味深い映像だ。これ必見。