Lesson3 (London Concert)

KB:(ピンポーン)ごめんくださーい、フェスくーん、起きてますぅ?

おすましフェスくん
Fess:ん?おぅ、おねぇちゃん、おはよ。早起きやね。

KB:うん、起こしちゃいました?これ、お土産。

Fess:なんや、これ?

KB:ふくやの明太子。フェスくん、辛いの大丈夫だよね?

Fess:おぅ、ここの明太子はうまいんや!悪いな、おねぇちゃん。博多行っとったんかい?

KB:うん、あとこれ、ふくさやのカステラ。アリスさんに。

奥様アリスさんとの2ショット
Fess:ほぉ長崎も行ったんか。よめはん、甘いもん好きやからな。さんきゅーさんきゅー。こないだ、ウガンダが日本 に行った時に買おてきてくれた草加せんべいも旨かったで。前歯入れたから、バリバリかじったった。日本の食べもん は 旨いなぁ。

KB:え?ウガンダさん、日本行ってたの?

Fess:うん、なんやBO GUMBOSゆうバンドのライブに出た言うとった。

KB:ああ、HotHotGumboの時だ。

Fess:営業やで、営業。あいつ、エエなあ、営業で日本やで。わしも営業行きたいわ。

KB:フェスくん、ニューオリンズ出るの嫌いって言ってたじゃない。フェスくんさえ行く気になったら、どこでも 呼んでくれるよ。

Fess:いやぁ、だいぶ前にウガンダとヨーロッパ行ったんやけどな。あかんわ、あんなん。

KB:ヨーロッパって、どこ行ったの?イギリス?フランス?

Fess:・・・知らんな。

KB:いや、知らんって、そんな。イギリス?フランス?イタリア?

Fess:・・・何ゆうとうか分からん・・・

KB:・・・。

Fess:ヨーロッパやで。ごっついやろ?

KB:・・・は、はい・・・ごっついです。

Fess:ツアーやで、ツアー。かっこエエやろ。

KB:・・・はい・・・かっこエエです。

Fess:確か、その時の音、CDになっとったで。ええっと・・・

KB:え、CD?!なんで?!ツアーって、讀賣旅行とかJTBじゃないの?

Fess:ねぇちゃん、あほか?ウガンダと2人でJTBツアー行ってどないするねん!コンサートツアーや!

KB:へぇー、そのCD、聴かせて聴かせて。

Fess:ちょっと待ってよ・・・んーーーー、あ、これこれ。

KB:どれどれ・・・ふーん、『コンプリート・ロンドン・コンサート』かぁ。

『The Complete London Concert』
Fess:こん時はなぁ、バンドなしでウガンダと2人だけだったんや。

KB:ふんふん。

Fess:忘れもせぇへん、困った客がおってな。

KB:どんな?

Fess:1曲終わる度にロッキンニューモニアをリクエストするんや。もう、ずっとやで。それもデカい声で。

KB:ふんふん。私もあの曲好き。

Fess:んー、あれはヒューイのやつが無茶苦茶ええからなぁ。あういう曲書かせたら、あいつの右に出るもんおらんな。

KB:うん、確かに。で、結局どうしたの?演奏したの?

Fess:うん、しゃあないがな。曲間にずーーーーーっと叫んどんやで。ロッキンニューモニア!ロッキンニューモニア!て。

KB:あっ、入ってる!CDにも声入ってる!ずーーーーーーっと叫んでる!

Fess:せやろ。しゃあないから演ったんやけどな、ウガンダが全然あかんねん。

KB:え・・・

Fess:打ち合わせしてないし、もう、ホンマぐちゃぐちゃやで。

KB:あ、これだこれだ・・・始まった・・・

Fess:・・・・・・・・・・

KB:・・・・・・・・・・・

Fess:・・・・・・・・・・

KB:・・・・・・・フェスくん、ぐちゃぐちゃなのはフェスくんのピアノのほうじゃ・・・

Fess:・・・え・・・・

KB:・・・うわぁ、突然弾くのやめちゃった!フェスくん、これは・・・

Fess:・・・・・う・・・・・・

KB:・・・うわぁ、客も拍手していいものかどうか迷ってる・・・

Fess:・・・おもろいやろ。

KB:・・・・・はい・・・・おもろいです・・・・

Fess:・・・かっこええやろ。

KB:・・・・・はい・・・・かっこええです・・・


Lesson3

今回は、フェスのピアノとヒューイ・スミスのピアノを聴き比べてみましょう。

 本文中にも出てくるヒューイ・スミスは、ノベルティックなナンバーを得意とする クラウンズのリーダー兼ピアニストで、本人は歌わずボビー・マーチャンやジェシ・ トーマス、カーリー・ムーアなど個性の強いリード・ボーカリストとおとぼけコーラスで 50・60年代に一世を風靡しました。まさしくニューオリンズR&Bの代表格です。ここ では本文にも登場するクラウンズ最大のヒット曲、「ロッキン・ニュ−モニア& ザ・ブギウギ・フルー」を取り上げます。

必ず買おう『Rockin' Pneumounia〜』
 まずはオリジナル、クラウンズのバージョンからです。Reference Dataのコーナーの アルバム『Rockin' Pneumonia And Boogie Woogie Flu』に収録されています。このCD 自体クラウンズ最盛期のエイス録音、名曲・名演揃いの素晴らしいアルバムですので、必ず 聴いてみて下さい。とぼけたノベルティックな曲調でありながらバンド演奏も非常に素晴ら しいのですが、ここではヒューイのピアノを中心に聴いてみましょう。

 まず一聴して気付くことは、ヒューイのピアノがサウンド全体の大きなノリを作る一方で 絶妙なスパイスとしても効果をあげているということです。基本はフェス流儀の力強い ベース・パターン、右手のパーカッシブなフレーズに、多彩な音色。1曲の中でも、様々な 表情を見せます。フェスのピアノをドラムに例えるなら、さしずめヒューイのピアノは パーカッション楽器といったところでしょうか。パート2では歌抜きのかけ声のみで、 バンド・サウンドの完成度の高さが引き立っています。

『Rockn'Roll Gumbo』ポリドール盤
 続いてフェスのバージョンを聴いてみましょう。本文中の『The Complete London Concert』はシャレとして、ここではアルバム『Rockn' Roll Gumbo』のバージョンを 取り上げます。6、7の2枚共に収録されています。音質は多少異なりますが、同音源で特 に手も加えてないようですので、どちらのバージョンでも良いでしょう。

『Rockn'Roll Gumbo』Dancing Cat盤
残念ですが、明らかにヒューイのバージョンに軍配が上がることが分かります。セッショ ン・バンドであることは仕方がないとしても、フェス・ピアノを中心に聴いてもバンドとの 兼ね合いから差は歴然としています。やはりソリストとしてのフェスの圧倒的な魅力も、 正しく作り上げられたバンド・サウンドにはかなわないということです。

 鍵盤弾きとしてどちらが上でどちらが下ということでなく、バンド・サウンド全体の 中で自らの役割を果たすことが良い音楽を産み出す条件ではないでしょうか。

 ちなみに、本文中の「Hot Hot Gumbo」とは95年に解散したバンド「ボ・ガンボス」が 93年六本木ピットインで行った企画ものカバー・ライブで、アルバム『クロウフィッシュ・ フィエスタ』をはじめ晩年のフェスのライブ等でもともに活動しているアルフレッド・ ウガンダ・ロバーツがコンガで参加しています。(上記の『Rockn' Roll Gumbo』で叩いてい るのも彼です)ウガンダさんは、ボ・ガンボスの1stアルバム『Bo & Gumbo』やシングル 『Bo Gumbos』のc/w『Big Chief』(フェスの『Big Chief』の日本語カバー)でもコンガを 叩いており、現在はニューオリンズでタクシーの運転手をされているそうです。このボ・ ガンボスの『Bo & Gumbo』には、ウガンダさんのみでなく、シリル・ネヴィルやケネス・ ウィリアムスなどのニューオリンズ・ミュージシャンやボー・ディドリーまで参加しています。

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